シンプルで本質的な日本政策金融公庫の事業計画書のテンプレ
https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_150401b.pdf
これです。「創業計画書」という名称でまとめられています。
30年ほど、ほぼ変わらず使用し続けられているもののようです。
シンプルで本質的な項目
ほんと、シンプルすぎて不安になるくらいです。
1 創業の動機2 経営者の略歴等3 取扱商品・サービス4 取引先・取引関係等5 従業員6 お借入の状況7 必要な資金と調達方法8 事業の見通し
経営理念やマーケティング計画など一般的な事業計画にある項目がなく、本当にシンプルな項目しかありません。
起業家が事業を軌道に乗せるうえで重要な要素には違いありませんが、日本政策金融公庫の融資審査の材料としては優先順位が低いということです。引用:事業計画書では、事業戦略やマーケティングは考えなくていい|事業計画書は1枚にまとめなさい|ダイヤモンド・オンライン
取り上げられている項目は、
・どんな人がどんなモチベーションでやっているのか
・何を価値として顧客に提供するのか
・価値提供を実現するための経営資源、すなわちヒトモノカネコネがどうなりそうか
・今後の事業がスケールしそうか
という根本です。
マーケット環境の考察とか、宣伝の仕方とか、原料の調達の仕方とか、各論的な部分には踏み込まず、本当にそぎ落とされまくっています。
※信用保証協会のサイトにもテンプレがありますが、こちらと比較してもだいぶシンプルです。
項目ごとの解説
も丁寧にしてくれています。至れり尽くせりですね。
Q1 販売についての検討項目を教えてください。
Q2 仕入についての検討項目を教えてください。
Q3 資金計画のたて方を教えてください。
Q4 自己資金はどれくらいあればよいですか?
Q5 売上予測の方法を教えてください。
Q6 収支計画のたて方を教えてください。
Q7 返済計画のたて方を教えてください。
Q8 事業計画書の作り方を教えてください。
利害が絡むとリアリティが増す法則
があると思います。
例えば、超単純な例ですがスライドの作り方について。
戦略コンサルや代理店、あるいはデザイナーなどのやり方を参考にするのが良いと思います。逆に、極論ですがパソコン教室の作り方は参考にはなりません。例え見た目的に綺麗に整えられていても実務で機能しない確率が高いです。
前者と後者の違いは、
・利害の絡み方が強いか弱いか
です。
後者の場合、多少の引き合いには関連するかもしれませんが、基本的に、それが微妙だからって詰められることも、結果、金が稼げなくなる・・ということも無いでしょう。もちろん、スライドの作り方を専業でやっているような場合は別ですよ。ともかく利害の絡み方が弱い。
前者の場合は全然違くて、緻密に設計されたスライドでないと、ステイクホルダーから詰められ扱いは失注し信用も失い・・と極論ではありますが、ともかく利害の絡みが強い。ゆえにノウハウも洗練化されやすい、という洗練化させないと生きていけないということになります。
スライド作り以外、デザインでもマーケティングでも、およそノウハウと呼ばれるものは全てそうですが、それ自体の成否が利害に直結する人の言うことは本当に参考になります。血が通い肉がつき、実務でぶん回すためのリアリティがあります。
逆に、事業開発に携わっていない人が語る事業計画論、マーケティング実務をやったことの無い人のマーケティング戦略論・広告表現論、提案業務の経験が薄い人のスライド論などは鵜呑みにするのは危険です。・・が、ネット上ではなかなか両者の区別がつきづらく、プロの目から見ると間違った情報がバズってることもよくあると思います。思うに、文章技術の良しあしが基準になってしまうことも多いのですね。
ですがそんな中でも、
・利害の強い人が言っていることかどうか
(その個人or組織にとって成否がどれくらい重たいものなのか)
を判断基準とすると、より本質が見極めやすくなるのではないかなと思います。
日本政策金融公庫のノウハウ
こちらのノウハウは、事業の成否が金にモロに直結する日本政策金融公庫で、30年ほど使われ続けてきたものなのでリアリティがありますよね。
実際にも事業の成否を判断するための必要事項が無駄なく、シンプルに、
判断しやすいようまとまっています。
この創業計画書の様式を使って不良債権が増えるようなことがあれば、内容を大幅に見直す必要があるでしょう。でも、まるでロングセラー商品のように長く使い続けられているということは、とくに問題が発生していないことを物語っています。
個人的に役立ちそうだと思ったので共有まで。